いつもは人事についての情報を発信したり、人事担当のみなさんを支援できるような記事を記載している私ですが、自社の2024年度のエンゲージメント調査結果が出たので、いろいろ振り返ってみます。
一言で言えば、やっぱりエンゲージメントってどう捉えるべきかが難しい、ということと、事業動向と比例するものだ、ということです。
エンゲージメントについては以下記事で紹介していますので、あわせて参考にしていただけますと幸いです。
エンゲージメントの点数をどう捉えるか
エンゲージメントについて、例えば「業務に対するモチベーション」「企業理念の浸透」「会社に対する忠誠心」みたいな主要指標があったときに、それぞれの平均点が100点満点中60点だったとします。
満点に対してはまだまだ改善の余地がありそうですし、点数は決して高くないように見えますよね。
でも市場の平均が50点であれば、この企業でのスコアは良好という評価に変わります。つまり絶対評価で見るのか、他社を含めた相対評価で見るのかによって大分スコアに対する捉え方が変わります。
もっと言えば業界によっても平均が異なりますし、企業規模(中小、大手)によっても平均は異なります。どの土俵で自社のスコアを評価するか、ここが一番頭を使うポイントです。
私の会社は従業員数が数千人いて、売り上げも1兆円を超えるような大企業です。その土俵でいうと、おおむね60点くらいが平均と一般論として言われています。
さて、今回の私の会社でのエンゲージメント調査は露骨な結果になりました。
事業変革に対する共感のスコアは高かったものの、自身がそれを実践しよう思うスコアは低かったのです。
事業部長や上司が言っていることはわかる。事業をこれからどんどん変革していくべき必要性も理解できる。一方で、それを自分はやりたくない(のか)できない(のか)・・・という結果に。
現在私の会社が置かれている状況も少しお話すると、主に国内セグメントでの収益が大多数を占める利益構造となっているため、今後シュリンクしていく市場をにらみ、新たな事業領域へとヒト・カネともにリソースを投下している状況なのです。
ゆえにどんどん新規事業創出に取り組みたい、芽が出るものは増員して予算を増やして、どんどん育てたい。そう思いながら、業務の効率化等を推進しながら人員のシフトを図ってきたところでした。
社員はよく頑張ってくれています。その結果として、事業の理念は浸透している。ただしマインド面が追い付いていない。頭でわかっていても行動に移せないということがよくわかりました。
アクションは机上で考えない
ではマインド面に対するアプローチが必要なわけですが、こういうときはいきなり新たな施策を打とうとしてはダメです。(とこれまでの経験を基に、自分の中でそう思っているのです)
結局社員を変えるのは社員。対話が大切です。課長などのマネジメント層は単に目標をいいっぱなしになってないか。こうやってみよう、ここまでやってみよう、上手くいかなくても大丈夫、だって初めてのことなんだから。そういう伝え方をしっかり部下にできているのか。
真因を決めつけるのはよくないですが、おそらく私が現場を見ていて思う仮説は、マネジメント層も含めて、どうせ上手くいかない、と内心あきらめてしまっているのではないか、ということです。
事業部長が描く事業戦略に対して、事業部長のようなトップ層も社員と伴走してあげる必要があるかもしれません。成功体験を積む社員を少しずつでも増やしていくこと。
彼らがいずれ、周囲の社員に対する起爆剤になる。そう思いながらちょっとずつ地道に取り組んでいこうと思います。
まずはこの仮説が正しいのか、トップ層はこれまでどんなことをやってきたか、マネジメント層は実際のところどう思っているのか、このあたりをしっかり聞いていくことからですね。
CoEやHRBPと、聞こえのよいキーワードはあれど、ふたを開けると社員と事業をどこまで深く理解するか、この一言に尽きるものだと心底思っています。
事業変革のための人材育成・人材投資
私の企業は、今年度数百億円規模で利益の拡大を思考しています。
事業変革を行うのは社員です。事業を拡大するのも社員です。
だからこそ、社員に耳を傾けるべき人がしっかりいることが、間接的には事業貢献につながると思っています。
営業もサービス開発も製造も、すべてはユーザに、市場にベクトルが向く仕事。一方で人事だけは、社員に対してベクトルを向けてよい仕事。ここにコミットしようとする人事がどれだけいるかは、実は私の会社も発展途上です。
まだまだルーティーン的な総務、給与、労務系業務に逃げてしまって、頭を使う仕事や、ヒトと向き合う時間をさけていないと思っています。
2025年度は人事を変えていく、それによって社員の声に面的に耳をしっかり傾けていく。それによって結果論エンゲージメントが向上する。そういった世界観を実現していきたいと考えています。
みなさんもエンゲージメントについて思うことがあれば、ぜひ教えていただけるとうれしいです。
2025年度も頑張りましょう。
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