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はじめに
キャリアコンサルタント養成講座を比較する記事をときどき見かけますが、どれも調べればすぐにわかる、表面的な違いだけを取り上げて比較しているような気がします。
たとえば誰しもキャリアコンサルタント試験の合格率の高い養成講座を選びたくなりますよね。
ただその前に立ち止まって、一つ考えていただきたいのです。
たとえば、200名受講者がいて180名が試験を受け140名が合格になっているA社の講座と、
200名受講者がいて100名が試験を受け90名が合格になっているB社の講座
この2つがあったときに合格率(受験者数にしめる合格者数)が高いのはB社の講座です。
一方でB社の講座は受講した半数の方しか受験していません。A社は9割の方が受験しています。カリキュラムの品質はA社の方が高いのかもしれません。
そういったところにも注目し、表面的な情報には惑わされずに講座を選択いただきたいのです。
この記事では厚労省が開示しているデータを様々な観点から分析し、みなさんがご自身にあう講座を選んでいただけるよう解説します。
自分にあう「キャリアコンサルタント養成講座」を見つけよう
近年、現役人事や人事を目指す方に人気のキャリアコンサルタントは、個人の職業選択やキャリア形成を支援する国家資格として2016年に創設されました。厚生労働省が定める基準に基づき、合格・登録した人のみが名乗ることができます。
現在キャリアコンサルタントは、企業の人事や、大学・専門学校のキャリアセンター、研修提供会社や人材紹介会社、公共職業安定所など、幅広いフィールドで活躍していることに加え、本資格を武器に転職活動を有利に進めたり副業に取り組む方も増えています。
キャリアコンサルタントの受験資格を得るためには、厚生労働大臣認定の養成講座を修了する必要があります(3年以上の実務経験がある方は必須ではない)。
本記事では、キャリアコンサルタントを目指す方向けに、それぞれの会社が提供している講座について様々な観点から比較し、ご自身にとって最も適したコースを選択いただけるよう解説していきます。なお、本記事では厚労省が開示している様々な数字的観点を基に、代表的な4つの会社が提供している養成講座を比較しておりますので、ご自身に合うものを検討・選択いただければと思っています。
※キャリアコンサルタント資格を取得するまでの流れや、必要なステップについて先に理解したい方はキャリアコンサルタント資格取得までの流れをご確認ください。
キャリアコンサルタントは年齢によらず高い合格率
キャリアコンサルタント試験は、学科試験と実技試験から構成されます。両方受験する方が多いですが、学科試験または実技試験の片方のみを受験することも可能です。
このあと養成講座を提供している会社ごとの合格率データも公開しますが、その結果が高いのか平均的なのか等を理解することができるように、まずはキャリアコンサルタント資格全体の合格率等を押さえておきましょう。
学科試験の受験者数・合格率 等
試験日程 | 申込者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|---|
2025/3 | 5,135 | 4,760 | 3,298 | 69.3% |
2025/7 | 4,100 | 3,778 | 2,736 | 72.4% |
実技試験の受験者数・合格率 等
試験日程 | 申込者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|---|
2025/3 | 4,970 | 4,705 | 3,163 | 67.2% |
2025/7 | 4,002 | 3,780 | 2,427 | 64.2% |
学科試験は約70%の合格率、実技試験は約65%の合格率となっています。またキャリアコンサルタント資格はどういった年代の方が受験しているのでしょうか?年代ごとの受験者数や合格率等も見てみましょう。
学科試験における年代別データ
年齢 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
30歳未満 | 341 | 255 | 75% |
30~39歳 | 887 | 691 | 78% |
40~49歳 | 1,035 | 765 | 74% |
50~59歳 | 1,115 | 770 | 69% |
60歳以上 | 400 | 255 | 64% |
実技試験における年代別データ
年齢 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
30歳未満 | 367 | 236 | 64% |
30~39歳 | 895 | 616 | 69% |
40~49歳 | 1,021 | 697 | 68% |
50~59歳 | 1,084 | 651 | 60% |
60歳以上 | 413 | 227 | 55% |
上記から30代の方が最も合格率が高いことがわかります。一方で、年代によって極端に合格率が異なることもないことが読み取れるでしょう。この傾向は学科試験も実技試験も同じです。
キャリアコンサルタント資格は40代以上の受験・合格が約7割を占める
参考として、第29回(2025年7月開催)の学科試験と実技試験について、それぞれ受験者・合格者を年代別に集計してみました。
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幅広い年代の方が受験していて特に40代以上の方が大多数を占めていることがわかります。加えて40代以上の方が受験者・合格者ともに約7割を占めていることから、会社の中堅・ベテラン社員中心に挑戦していることがよくわかります。
さてここまで様々な切り口でキャリアコンサルタント試験を分析してきましたが、他の国家資格と比較しても高め合格率となっていることや、幅広い年齢の方が挑戦していることを理解いただけたのではないでしょうか?
キャリアコンサルタント養成講座は、受講料の50~80%が支給
次に費用面についても解説します。キャリアコンサルタント養成講座の受講にあたっては、以下で詳細を記載いたしますが約30~40万円程度の料金が必要となります。
一方で、厚生労働省が定める「教育訓練給付金」を活用することで、受講料の50%~80%について支給を受けることができます。そのため自身の負担額を減らすことが可能であることも、本資格の魅力の一つです。
なお本支給は、いつでも誰でもどのような講座を受けても支給されるものではありません。厚生労働大臣が指定する講座を受講する方のみが給付を受けることができます。
そのため指定講座ではない養成講座を受講する場合には本給付を受けることはできないため、注意しましょう。
なお本記事では、教育訓練給付金支給の対象となっている代表的な4講座を取り上げます。
キャリアコンサルタント養成講座を評価する観点
キャリアコンサルタント養成講座は複数の会社が提供しています。先にお伝えしたいのは、料金だけで比較するのではなく、自身にとって最も学びやすい環境であるものを選択することが重要です。以下観点も含め検討していきましょう。
- 養成講座の料金
- 受講者数・受験率
- 合格者数・合格率
- 通学 or リモート(通学の場合はご自身の通いやすいエリアに校舎があるか)
- 受講者の満足度
このあと養成講座を提供している会社について複数紹介いたしますが、上記観点からご自身に最も合うものを見つけることが大切です。
キャリアコンサルタント養成講座の具体的な比較
キャリアコンサルタント養成講座は様々な企業等が提供していますが、本記事では代表的な講座のみに絞って取り上げます。
また、上述のように、教育訓練給付制度の対象講座であるため、講座に関する各種情報については厚労省のweb上(教育訓練給付制度 検索システム|厚生労働省)で公開されています。恣意的に特定の講座を推奨するものではありませんので、ご自身に合うものを検討いただければ幸いです。
■令和5年度 キャリアコンサルタント養成講座実績
日本 マンパワー | LEC | ヒューマン アカデミー | 地域連携 プラット フォーム |
|
---|---|---|---|---|
料金(税込) | 396,000円 | 330,000円 | 425,061円 | 297,000円 |
入学者数 | 2,052名 | 1,252名 | 2,432名 | 490人 |
受験者数 | 1,733名 | 704名 | 1,552名 | 123名 |
受験率 | 84.5% | 56.2% | 63.8% | 25.1% |
合格者数 | 1,366名 | 578名 | 1,355名 | 99名 |
合格率 | 78.8% | 82.1% | 87.3% | 80% |
受講者平均 評価(5点中) | 4.3点 | 4.2点 | 3.9点 | 4.0点 |
受講形式 | 通学/オンライン | 通学/オンライン | 通学/オンライン | オンライン |
キャリアコンサルタント養成講座を調べると、合格率をPRしている媒体を目にします。一方で合格率だけを重視するのはやや危険です。例えば50人が受験して40名が合格になれば、合格率は80%となりますよね。
一方で、実は養成講座を受けていた方は80名いたものの、個々人の到達度合いの問題で受験を見送った方もいて、その中で受験したのが50名だけだったとすると、実際には80名に対し40名が合格したと捉えるのが適切かもしれません。
このように、重要なのは合格率だけを見るのではなく「受験率」も参考にすることです。
あるいは、受講者数や受験者数も確認しておきましょう。受講者間でコミニュケーションをとることも多く、横のつながりができることも講座を受講する魅力です。
加えて、定量的な評価のほか、各コースの特徴も検討材料にすることが有意義です。以下で、上記で記載した4社のコースについて特徴を記載します。
日本マンパワー
日本マンパワーは、キャリアコンサルタント資格が国家資格になる遥か以前の、1999年頃から、日本で初のキャリアコンサルタント(キャリアカウンセラー)養成講座をスタートしています。累計の受講生は約4.8万人と圧倒的な人数であり、また受講者のカリキュラム満足度は95.8%と、講座の品質の高さがうかがえます。

また、養成講座を修了することで、キャリアコンサルタントの受験資格を得られるだけでなく、約20,000人のネットワークを有するCDA資格の取得も可能となります。CDA資格を有することで、他の会員との交流・研鑽の機会を得ることができることも魅力の1つです。
- 講座は1999年より提供開始とパイオニア的存在
- 受講者数4.8万人、受講者満足度96%という圧倒的な実績

LEC
LECは、様々な資格取得に係る講座を提供していることで有名です。キャリアコンサルタント養成も22年以上の歴史があり、全国に学校・教室を有していることが特徴です。そのため、実際の技能レベルを成長させるためにリアルで講習を希望する方については、アクセスしやすい場所に校舎があることは魅力です。

また、資格取得後のサポート体制も力を入れており、オンライン交流会・リアル交流会ともに活発に実施しており、キャリアコンサルタントになった以降も切磋琢磨できる環境があることが特徴です。
- 資格取得の学校としての知名度の高さ、全国に校舎を有するアクセスの良さ
- オンライン、リアルともに交流会による他者との交流機会がある

地域連携プラットフォーム
講習に加え、通信添削課題の提出や習得度確認試験も含めすべてがオンラインで完結するため、多忙な方や出張が多い方も受講しています。

加えて、通常は約3か月で終了となる講座も、1.5か月の短期コースで終了することも可能です。また、最短0.5か月で完遂する特別集中コースも用意されており、長期休暇の際に受講をまとめて実施したい等、自身の予定に合わせて受講することができます。
- フルオンラインでの完結が可能
- 最短0.5ヶ月での短期間集中型での受講が可能

ヒューマンアカデミー
ヒューマンアカデミーでは、全国の仲間とコミュニケーションを取ることで、知識の定着を一層図るべく「受講生専用コミュニティ」を無料で活用することができます。
- 全国主要都市に校舎あり
- 受講者間でのコミュニティがあることで関係性を深められる
- 就職に向けた支援まで受けることが可能
また、全国主要都市に校舎があるため通学がし易いことに加え、転勤・引越しが発生した場合には転校も可能となっています。また、グループ内にある総合人材サービス業のヒューマンリソシア社との連動により、キャリアプラン作成支援を受けたり、求人とのマッチングをしてもらうことも可能です。
自分が重視する軸を基に選択する
さて、ここまで取り上げてきた数字や特徴からまとめてみます。繰り返しですがいずれかを推奨するものではありません。
私の会社でも、社員のキャリア相談にのる窓口を用意しており、その対応を担う社員は全てキャリアコンサルタント資格を有しています。
ある男性社員は、2ヶ月の育休中に短期集中講座を受講し受験資格を得ました。また別の女性社員は会社の帰りに校舎に寄って、カリキュラムを受講してから帰宅することを実践していました。
このようにご自身が重視する軸や環境にあわせて検討いただけるとよいかと思います。
例えば重視するものによって、以下のように受講講座を選択することも有意義でしょう。
■受験率・合格率、受講者による評価を重視 → 日本マンパワー(資料請求等は以下画像よりアクセス)

■通学のしやすさ、価格優位性・認定者の交流を重視 → LEC(資料請求等は以下画像よりアクセス)

■受講者間で切磋琢磨し、認定後の就職まで重視:ヒューマンアカデミー
■短期集中やオンライン受講完結を希望 → 地域連携プラットフォーム(資料請求等は以下画像よりアクセス)

養成講座受講者と、実務経験者(養成講座未受講者)の合格率
冒頭記載した通り、キャリアコンサルタントの受験資格を得るためには、厚生労働大臣認定の養成講座を修了する必要がありますが、3年以上の人事実務経験がある方は養成講座の受講は必須ではありません。(詳細はキャリアコンサルタント資格取得までの流れを参照)
では養成講座を受講した方と、実務経験を有する方とで、合格率はどれだけ変わるものでしょうか2025年3月に実施された第28回の試験結果からまとめてみました。
■第28回 学科・実技試験結果
受験者 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
---|---|---|---|---|
学科 | 養成講座修了者 | 4,290人 | 3,000人 | 70% |
実務経験者 | 468人 | 296人 | 63% | |
実技 | 養成講座修了者 | 4212人 | 2845人 | 68% |
実務経験者 | 465人 | 296人 | 64% |
(第28回キャリアコンサルタント試験 試験結果 より記載)
このように、養成講座受講者の方が合格率は高くなっていることがわかるかと思います。養成講座において試験対策も含め実施できることが、こうした結果に繋がっています。
キャリアコンサルタント資格取得までの流れ
まず結論からお伝えすると、キャリアコンサルタントには「誰でも」挑戦できます。一方で、挑戦する方が人事実務経験を要するか否かによって、その後のフローが異なるのです。
受験するための資格について
キャリアコンサルタント資格の試験を受けるためには以下のいずれかに該当する必要があります。
- 3年以上の実務経験を有する方
- 「養成講座」を修了した方
- キャリアコンサルティング技能検定の2級/1級を保有している方
3年以上の実務経験を有する方、キャリアコンサルティング技能検定を有する方は限定的だと思いますので、それ以外の方は養成講座を受講する必要があります。
※なお実務経験とは、以下のことを指します。
実務経験とは、労働者*の職業選択、職業生活設計又は職業能力の開発及び向上に関し、相談者の希望に応じて実施される相談**に継続的・反復的***に携わった経験を指します。
キャリアコンサルティング協議会HP(https://www.career-kentei.org/faq/355/)より引用
* 労働者とは
現在就業している者のほか、仕事を探している求職者、学卒就業希望者等を含みます。
例えば、小学生など、直ちに求職活動を行わない方は含みません。** 相談とは
相談者の意思に基づいて行われるキャリア相談を指します。
会社方針に基づく人事考課面談や、採用選考のための面談は含まれません。
なおキャリア開発やキャリア教育に関するテーマであっても、セミナー形式等での講師は該当しません。*** 継続的・反復的とは
キャリアコンサルティング協議会HP(https://www.career-kentei.org/faq/355/)より引用
相談業務に携わる頻度や期間のことで、概ね月に1 名以上の相談を指します。
受験する
キャリアコンサルタント試験は、現在年3回(3月、7月、11月)実施されています。試験は、2日に分かれて実施します。
初日は学科試験+実技(論述)試験を実施し、別日に実技(面接)試験を実施します。なお試験はリアル(対面)形式での実施となります。
合格発表は試験の概ね1か月後にweb上で公開されます。あわせて合否通知書が郵送で送られてきます。
キャリアコンサルタントになる価値はあるか
さて、みなさんはなぜキャリアコンサルタント資格は取得しようと考えているのでしょうか。人によっては取得を推奨されていたり、自分自身でスキルを持ち高めたいという方もいるでしょう。
資格を持っているとなんとなく価値があるように思えてしまいますが、ここでは私がこれまで人事を務めてきた経験を踏まえ具体的な価値をお伝えできればと思っています。
企業内キャリアコンサルタントを確立する
現在、特に多くの社員を抱える企業を中心に、社員のエンゲージメント維持・向上が課題となっています。例えば社員が自身のキャリアについて考え、「次はこういう業務にチャレンジしたい」「昇格の機会から遠ざかっているが自身の何を変えていけばよいのか」こうした具体的な悩みを持った際に、社員の相談に乗ることができる人材が不足しているのです。
上長に相談すればいい、というわけにもいきません。なぜなら上長も具体的にどのようなアクションをするべきかわかっていない場合もあれば、結局のところ人事にが判断する領域が多分にあるためどのようなフィードバックを社員本人にするべきかもわからないのです。
そのため、社員からの相談を秘匿的に公平に相談に乗る機能が必要となっています。そこで多くの企業では企業内キャリアコンサルタントの設置を開始しています。こうした背景を基に、自身が社員の相談窓口として広く対応できるようにすることで、企業内での自身の立ち位置を向上させることもできるでしょう。
企業内キャリアコンサルタントについては以下でもまとめていますので、ご確認ください。
自身の市場価値を上げる
例えば私が普段つかっているRECRUIT AGENTで「キャリアコンサルタント」と検索すると、約2,200件の検索結果(求人)が表示されます。

その中でも以下のように、キャリアコンサルタント資格を有している方を歓迎要件としているケースも多いのです。

このようにキャリアコンサルタント資格を有していることは市場において、スキルを客観的に示すうえでは効果的であり、自身の市場価値を高めることに繋がるともいえるでしょう。
興味関心が生まれたら、まずは資料の取寄せから
キャリアコンサルタント資格は、養成講座を受講し、試験対策を経て、試験当日を迎えます。もっといえば、どの会社の養成講座を受講するかを考え、悩み、申込み…と、実際に受講が始まるまでも一定期間を要することを加味すると、キャリアコンサルタント資格取得には約半年以上が必要となります。
そのため、本記事で関心を持っていただいた方は、ぜひ各社の養成講座の資料請求から始めてみてください。養成講座の詳細や、受講者の体験談等を確認すると、一層各社のカラーが見えてくることでしょう。
最後に
冒頭記載したように、キャリアコンサルタント資格は国家資格です。国家資格は比較的難易度が高い資格が多くまた高度な専門的知見を問われるため、その業界や職種で業務従事している人だけが挑戦できるもの、という印象があります。
一方でキャリアコンサルタントは、実務経験がなくても養成講座を受講することで十分に合格できる機会が広かれている、という意味では大変有意義な資格だと感じています。
本記事をきっかけにキャリアコンサルタントに興味を持ち、身近な方々のキャリア形成を支援できる人が増えることを期待しています。
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