HRBPを担うべき人材・適性について

HRBP

HRBPの概要や具体的に求められる役割等については、以下記事において紹介しました。

ここではHRBPを担うべき人材や、どのような人材がHRBPを担うに適しているかについて説明していきます。

HRBPに求められる役割とは

HRBPを設置する際には、どのようなスキルや適性を持つ人材が適任となるでしょう。人材像を考えるにあたって、まずはHRBPに求められる役割から考えてみましょう。

コミュニケーションスキル

HRBPは事業計画の達成に向けてあらゆる人材戦略を実行することがミッションであるため、事業課題を適切に把握できることが前提となります。そのためHRBPは、事業部長や各組織長と事業課題に向き合う必要があります。

そこで必要になるのはコミュニケーションスキルです。事業部長との対話を通じて、現状や今後についてビジョンを共にする必要があります。加えて、現場の一人ひとりの社員のエンゲージメントについても適切に把握しなければなりません。そうではないとトップダウン的な業務運営体制により、社員が疲弊しモチベーション低下につながる可能性があります。

そのため事業部長と現場社員の両者の間に立つ人材として、それぞれが直面する課題や、期待される領域等を把握するために、HRBPは高いコミュニケーションスキルが必要となります。

経営スキル

一言で経営スキルといっても、主観が多分に介在すると思います。ここでの経営スキルとは、高い視座を持ち、事業構造を理解し、数値的な事業分析を通じて、事業の方向性を導く力、だと考えています。

たとえば、直営営業と代理店営業が存在する法人営業組織があったと仮定します。

直営営業では1名あたりの利益創出額が1000万円で、代理店営業では1名あたりの利益創出額が700万だったと仮定します。

この数字だけを見れば、代理店営業に従事している社員を直営営業にシフトした方が、事業としてはトップラインの拡大が期待できると考えるかもしれません。

一方で、直営営業は平均年齢が50歳、代理店営業では平均年齢が40歳だったと仮定しましょう。あるいは、代理店営業は代理店となる企業の経営者と対等に経営課題に向き合う必要があるため、代理店営業を経験することが将来の法人営業キャリアには有意義であるかもしれません。

また人員が減耗する事業動向において、5年後、10年後に、現在の体制は維持できるのでしょうか。10年後も安定的に直営営業を機能させるためには、他の事業領域との間で人材を還流させる必要があるかもしれません。

これらを総合的に勘案したうえで、事業に携わるリソースを把握し、中長期的なリソース計画を策定することで初めて、販売計画が策定できるわけです。

多くの大手企業では、会社として目指すべき売上高や利益額があり、それが事業ごとに案分されて各組織に落ちてきます。それをどう達成するかを考えるのが各組織の役割になっている実態があります。HRBPはあらゆる数字や人材情報を踏まえ、戦略人事を実行する必要があることから、経営スキルが必要になるのです。

課題解決力(合意形成力)

事業課題の解決を図る上では、その事業を担う各組織長に対し、厳しい要求をしなければならない場合もあります。

たとえば不採算事業や生産性の低い事業から、人員を引きはがし、強化領域へシフトさせなければならないケースもあるでしょう。

または選択と集中の一環で、サービスやソリューションをクローズしなければならない場合もあるでしょう。

現状を良しとせず、改善すべき方向性とそれにより達成されるゴール像を示し、必要なステークホルダーの合意形成を図ることは容易ではありません。

そのため、主観や感情論を抜きとして、合理的かつ客観的なビジョンをいかに導き出せるか、10人いたら10人がそうするべきだと理解してもらえるような勝算のあるストーリーを描けるかが大切となります。

その際に必要になるのは、その組織にとってのメリットやデメリットではなく、事業としての展望をもって判断を求めることです。そのため、課題設定のレイヤーや、その解決に向けたアクションプランのレベル感自体が重要性を持つのです。

HRBPに求められる経験や資質

ここまで述べてきたことからもわかるように、HRBPは入社間もない若手社員や中堅社員が担うべきポストではありません。

事業部長と対等に事業の展望を議論する上では、HRBP自身も本事業領域で様々な課題に直面し、その解決に向けて経験を積んできていることが強みとなるはずです。

またはその中で経験してきた成功体験や他者からの評価があることが望ましく、ゆえに自ずと役職も担当部長や担当課長相当の役職にならざるを得ないといえます。

加えて、当該事業領域にいる社員から見れば、あらゆる人事権を持つHRBPに対して、「なんであの人が人の配置や評価を担っているのだろう」と疑念を持たれては、組織としての信頼性が根幹から揺らぎます。

そのため、HRBPは当該事業領域で活躍している社員を登用することが望ましいとされています。

※一方で日本の大手企業において、本思想でHRBPを設置できている企業は限定的である所感。

HRBPは一般的にはチームを編成して業務にあたりますが、これら条件を満たす適材を登用することが重要となることを記し、本記事の結びと致します。

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